- 2005-08-03 (水) 5:04
- 生物
舌で受け取った苦味や甘味の情報が、脳の中ではそれぞれ違う場所につながっていることがマウスを使った実験でわかった。情動に関連する場所にもつながっていて、「甘いものを食べていい気持ち」など、味と情動の関係を調べる糸口にもなりそうだ。
舌で感じた神経刺激がその味によって脳の別の領域に運ばれることが明らかになったという報告です。 この報告によって、甘いものによって誘起される幸福感や苦いものに対する嫌悪感は、そもそも舌から伝達される脳の部位が異なることに起因していたということです。
マウスを用いた実験では、味の識別に重要な役割を果たすとされている大脳皮質味覚野に刺激を伝達するタンパク質が伝わる様子を観察しています。 この結果、甘みとうま味を感じた場合、伝達物質は同じ場所(味覚野の前方)に伝わり、苦みでは後方に伝わったと云うことです。
さらに、感情を司る扁桃体でもそれぞれ別の場所に伝わっていることが解ったと報告されています。
舌の表面には、味を感じるための受容体(味をもたらす分子と結合する)があります。 この受容体が化学物質(糖や食塩→ナトリウムイオンなど、いわゆる味を感じるもの)と結合することで神経細胞の興奮に繋がり、最終的に脳へと伝達されます。 受容体には役割分担があり、甘味、辛味(塩辛さ)、苦味、酸味のうちひとつを特異的に受け付けます。 甘味受容体は甘味しか感知しないと云うことです。 これらの受容体が受け付けたバランスによっていわゆる「味」が作られているというわけです。
このようなメカニズム自体が、それぞれが脳の別の領域を刺激するという今回の報告を支持していますね。
酸味を甘味に変えてしまうことで有名なミラクルフルーツは、この受容体のバランスを崩してしまう効果を持っています。 ミラクルフルーツに含まれるミラクリンというタンパク質が酸味受容体の働きを抑制し、甘味受容体の受け口を変化させるます。 このため、酸っぱいものを食べても甘味受容体がその分子を受け付けて最終的に甘いと感じてしまうわけです。
生物は、生きていくために栄養価の高いものを美味しいと感じ、毒や腐った食べ物など生きることを阻害するものを不味いと感じるようになっていることは、日常生活の中でも感じられるのではないかと思います。 この報告では、そのような味と感情を繋ぐシステムの一部を明らかにしています。
これまでに人間は甘いものを食べたいが太りたくないという矛盾した欲求を満たすために、ローカロリーの合成甘味料を作るなどしてきました。
この報告によって研究がより発展すれば、苦いけど嫌悪感を抱かないような苦さをもつ食品や、甘いと感じるだけではなくより幸福感を得ることの出来る合成甘味料が作られていくかも知れません。 ひとつ間違えば麻薬に近いような気がしてちょっと怖いですが、ちょっと試してみたいですよね。
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Comments:2
- glow 05-08-09 (火) 21:20
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受容体が4つの味のうちひとつを 特異的に受けつけるというのは、
生物が(あるいはヒトが)進化の過程で獲得したものなのでしょうか?全ての生物が
>生きていくために栄養価の高いものを美味しいと感じ、
毒や腐った食べ物などを不味い と感じるようになっている
というのはもっともで 納得!!なのですけれど、
哺乳類の受容体は、基本的に4味とも感じ取れるのかなーと。
ネコとかってしょっぱさをあまり感じないとか聞いたことがあるような・・・
ネコ缶って塩味が無いらしいですし(笑)嗅覚等は明らかに ヒトの方が退化していると感じるけれど
味覚ってどうなのでしょうね?
ヒトっていろいろな物を食べるようになって
受容体がいろいろな味をキャッチできるように
特化した ということもあるかもしれないのでは?
なんて思ってもみたり。ミラクルフルーツのくだりは、
なるほど☆と思わず頷いてしまいました。
ミラクリンというタンパク質が酸味・甘味の双方の受容体と結びつくと言うことなのでしょうか。
その結果、一方では働きを抑制し、一方では受容体の受け口を変化させ 他の分子をも受け付るようにしてしまう と解釈したのですが・・・書き出したら とても長くなってしまい。。。すみません
- とし 05-08-11 (木) 3:15
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> glowさん
うーん、全ての生物が4つの味覚をしっかりと持っているかと云われると、
ちょっと自信がないですね。
でも、刺激を感じる器官であることは間違いないので、
塩味を感じないと云うことはないと思いますね。
発達していない味覚を嗅覚でカバーしている可能性は十分考えられますが。味覚に限ったことではありませんが、子どもの頃にどれだけ豊かな食生活をしたかによって、
味覚の鋭敏さの基礎が成立すると云うことを聞いたことがあります。
また、薄味のものを食べて続けると味覚が鋭敏になりますね。
ですから、ヒトになってから様々な味覚が発達したと云うことはありえるとおもいます。ミラクリンの分子的な味覚錯乱メカニズム(いま命名)は実はよく知らないのですが、
味覚を司るタンパク質と化学物質の相互作用において、
何らかの働きをしていると考えられます。
非常に細かい話になりますが、味覚受容体は外側に刺激物が結合することで、
細胞内部の形が変わって刺激を細胞内に伝達することが知られているので、
この構造変化になにか関わっているのかも知れません。
# この下りはあくまで僕の想像です。長いコメントでも大歓迎ですよ。
レスが遅くて申し訳ありません。



