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イリオモテヤマネコは旬を追いかける美食家だった。

  • 2005-08-05 (金) 3:37
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イリオモテヤマネコは食通度世界一 ネコ科で異例の雑食性

イリオモテヤマネコはネコ科の中で最も食愛好家―。国の特別天然記念物イリオモテヤマネコが、季節や生息地域といった環境によって主要な餌の種類を変え、餌の内容もネコ科の動物としては世界一バラエティーに富んでいる

沖縄県八重山諸島の西表島にだけ生息するイリオモテヤマネコは天然記念物としても非常に有名ですね。 このイリオモテヤマネコがネコ科の動物の中でもっともバリエーションに富んだ食事を取っていることが明らかになったという話題です。

ネコ科の動物、ライオンやトラ、ヒョウ、チーターなどは年間を通じて哺乳類を食べることが知られており、いわば「偏食家」だということが解っています。 同じヤマネコとして知られているツシマヤマネコでも昆虫や鳥類を食べる程度でその食事の殆どは哺乳類だということです。
そんなネコ科の動物でありながら、イリオモテヤマネコが昆虫やエビ、カニを食べることが知られているそうです。 これは、イリオモテヤマネコの生息している西表島はエサに出来るような哺乳類がいないために、様々なものを食べざるを得なかったと考えられています。

この報告では、特殊な食生活を営んでいると考えられるイリオモテヤマネコの食事を1年を通じて調べ上げたものです。 その結果、餌動物が76種に及ぶことが解かり、主要な19種と季節の関係を調べたところ、冬には渡り鳥を主な餌にし、夏にはトカゲなどのは虫類を中心に捕食していることが解ったと云うことです。 さらに狭い西表島(290km2:ヤマネコが生息する島または生息域として最小)のなかで、平地、山間部など住む環境によって柔軟にエサを変えていることも明らかになりました。
このような現象は奇跡的なことだということで、西表島に生息する生物種の多様性や地理的条件がもたらしたものだと考察しています。

イリオモテヤマネコは20世紀に入ってから発見された最も新しいネコ科の生物で、発見当時は独立した種であり、生きた化石として扱われていましたが、近年のDNA鑑定によって、ベンガルヤマネコから20万年ほど前に分岐した近縁種であることが解っています。 また、その生息域の狭さからか、イリオモテヤマネコ自体には遺伝的な多様性が乏しいことが指摘されています。
このようなイリオモテヤマネコが、他のネコ科の生き物には見ることの出来ない食生活の多様性を持っていることはとても興味深いことです。 食生活は生きていく上で根本的な活動であり、種族として主食にしていた哺乳類がいない島で遺伝的に固定されるまで繁栄したことなどは特筆に値することかも知れません。
種の中における遺伝的な多様性が少ないことから、食習慣の異なる個体同士での交配もあることが考えられます。 これも面白い事実だとおもいます。

イリオモテヤマネコの食生活は人間のそれととても近いものかも知れないと思いました。 季節のものを食べることは、いまではちょっとした贅沢と取ることも出来ますが、このイリオモテヤマネコの例をみると、その起源は生きていく上で余儀なくされて始まった行為だと捉えることが出来るのかも知れません。

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