- 2005-12-20 (火) 18:54
- 生物
始祖鳥(Archaeopteryx)は現在確認されている最古の鳥類である。今回、10体目となる保存状態の良好な始祖鳥の化石を詳しく調べたところ、最古の鳥は獣脚類の恐竜に似た足を持っていたことが明らかになった。同化石から、これら鳥類の足や頭蓋骨に関する重要な詳細が新たに判明し、現代鳥類の先祖は獣脚類であるとする、広く受け入れられてはいるものの、未だ普遍的ではない説が裏付けられることとなった。カササギ大の同化石から、始祖鳥は第2趾を大きく伸ばすことが可能であったことが判明した。
先日お伝えした「始祖鳥は鳥じゃなくて恐竜の仲間だった。」で、始祖鳥の後ろ脚の形状がはっきりと解る化石が新たに発見され、この形状が鳥類のそれと違ったために「始祖鳥は恐竜の仲間であると考えられる」と紹介しました。
しかし上記エントリに対して、「今回明らかになったのは獣脚類に似た足を持っていたことで始祖鳥は木の枝から飛び立ったのではなく地表を走って飛び立っていたとの説が裏付けされたという事だけのようです」とのコメントをいただきました。
実際に、上に引用したScience 日本語版の記事では、「始祖鳥が鳥類ではない証拠が見つかった」などという記述は一切なく、始祖鳥が現代の鳥にこれまで考えられていたほど似ていなかった、木にとまることができなかっただろうという指摘にとどまっています。
この新たな始祖鳥の化石の発見は、鳥の先祖が獣脚類であったという説を裏付けるものであるという点が強調されています。
では、先のエントリの根拠となっている「脚の指が向かい合っていないから鳥類ではない」という概念はどこに行ってしまったのでしょうか?
分岐学上の「鳥」の概念をひもとくと、すぐに答えは出てきました。
鳥類とは、「始祖鳥と現生鳥類の最も新しい共通の祖先から派生する全ての子孫 」です。
1. 分岐学的手法によるによる鳥類(Aves)という分類群の定義です。
2. Aves(鳥類)はリンネが1758年に名付けた分類名ですが、分岐学で再定義されています。
(恐竜の楽園:鳥類の定義より引用)
とあります。 この定義は要するに「鳥と鳥以外の恐竜(マニラプトラ類など)の境界は「始祖鳥」それ自体」だということを云っています。
この定義で決められている鳥類から始祖鳥がなくなるということ自体が絶対にありませんね。
先日のエントリで取り上げた始祖鳥の化石発見に関して、日本の各新聞社などの情報ではほぼ完全に(私が見た限りでは全て)「始祖鳥は鳥類ではなく恐竜の仲間であった」と報道していましたが、それは明らかに誤りだとわかります。
この手のニュースにキャッチーなタイトルを付けたくなる気持ちは人一倍よくわかりますが、誤った解釈をしてしまうのは非常に危険なことです。 各社が足並みをそろえて間違ったタイトルを付けていたため、早い段階で間違いが生じてしまったのだと推測できますが、情報は吟味をして正しい情報を提供できるように少しでも努力をして欲しいですね。 という台詞は私自身にも突き刺さるわけです。
もちろん、サイエンスエディタが完全に不足しているという現状も背景にはあるのだろうと思います。 サイエンスエディタを育成していくという流れは一部にあるようですが、専門性の問題などもありますし、難しいのが現状なのでしょうね。
これからもよりいっそう、育成に力が置かれていくことを切に希望します。
新聞社の記事を鵜呑みにして誤った情報を提供してしまったことを、ここに深くお詫び致します。 これからはより多くのソースを補足情報として提供し、できるだけ正しい情報を提供できるようにしたいと思っております。 これからもよろしくお願い致します。
最後になりましたが、コメントをくださったストビさん。本当にありがとうございました。
参考URL:
鳥類とは? 鳥類の定義
始祖鳥(古生物)について - Archaeopteryx FAQ -
鳥類 - Wikipedia
始祖鳥 - Wikipedia
分岐学と分類学
- Newer: 水に電気をかけたら… 水素と酸素に? いいえ。 氷になるんです。
- Older: 唐辛子を食べて、快眠と素敵な翌日を手に入れよう。
Comments:0
Trackbacks (Close):1
- trackback from 鳥新聞 06-01-07 (土) 0:08
-
ロマンとセンセーション
始祖鳥は鳥類じゃなかった!っていうニュースは間違っている。 という記事は間違っていると思う。 僕はかわいい鳥には大変興味あるが、始祖鳥はかわいくないのであまり興…



