- 2007-11-23 (金) 0:11
- 生物
新しいバクテリア細胞運動の装置を発見(マイコプラズマ滑走運動の装置、”くらげ構造”)
これまで見いだせなかった細胞骨格様構造を発見することに成功した(図4,5)。「くらげ構造」と名づけたその構造を画像処理により解析し、変異株を用いることで滑走運動との関係を示した。また、10種類の構成たんぱく質を新たに同定した。
本研究の成果は、(1) マイコプラズマ滑走運動の解明、(2) まったく新規の細胞内構造の発見、という2つの観点から重要な意味を持つ。
マイコプラズマ肺炎の原因となる細菌としてよく知られているマイコプラズマがこれまでに発見されていたどの移動方法とも異なる装置を持っていることを明らかにし、この装置をクラゲ構造と名付けています。
以前からガラス面などに張り付いたまま滑走するように移動することが知られていました。論文の著者のページで滑走運動の様子がみられます(真ん中へん)。この滑走運動はマイコプラズマに独特のもので、他の細菌(大腸菌や古草菌など)が持っているべん毛や線毛を用いた運動とは違うことがわかっていました。また、マイコプラズマはゲノム解析も進んでいてこの結果からべん毛や線毛、分子モータと呼ばれる既知のタンパク質を持っていないことも明らかになっていました。
本報告ではこれまでに見つかっていなかった新しい移動装置を発見し、その遺伝子10個を特定するとともに、顕微鏡像から推測した運動モデルを提案しています。細胞から外部にのびた腕をガラス面に結合させて引っ張る力で進むモデルを考えているようです。少しミオシンなどの分子モータと似ているモデルかなと思います。ただしミオシンがミオシン分子(とそれに結合した分子)を運ぶだけなこと、ミオシンはアクチンというレールと結合することを考えると細胞自体を移動する方法としてこのような装置を持っているというのは興味深いですね。
この装置の顕微鏡像がクラゲに似ていることからクラゲ構造と名付けています。ここのページでクラゲ構造の顕微鏡写真を見ることができます。
マイコプラズマは寄生細菌として知られ、宿主の機能を借りることが知られているためゲノムサイズは非常に小さく遺伝子数がだいたい500(ヒトは22000くらいあることが知られています)ほどしかありません。ゲノム解析も割とよく進んでいるはずなのですがこのなかで10個もの遺伝子が全く新規の遺伝子であったという事実はゲノム解析の現状をよく表しているのではないかと思います。
- Newer: 動物園生まれのヘビが毒ガエルを食べない理由は?
- Older: 未舗装の道が洗濯板のようになる理由
Comments:0
Trackbacks:0
- Trackback URL for this entry
- http://sasapanda.net/archives/1813/trackback
- Listed below are links to weblogs that reference
- クラゲ構造という新しいバクテリア細胞運動の装置が発見された。 from Orbium -そらのたま-



