がん遺伝子使わず万能細胞作製、京大研究グループが成功 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
人間の皮膚細胞から、さまざまな臓器・組織の細胞になる能力を秘めた「万能細胞」を作った京都大学の山中伸弥教授(幹細胞生物学)らの研究グループが、課題とされたがん遺伝子を使わずに万能細胞を作製したと発表した。
人間とマウスで成功したという。この万能細胞が、がん化しにくいことも確認。臨床応用に向け、さらに一歩踏み出した。11月30日付の米科学誌ネイチャー・バイオテクノロジー(電子版)に掲載される。
ヒトの成人皮膚由来の細胞から万能性を持つiPS細胞を作ることに成功した研究室から早くも続報が報告されました。皮膚細胞に4つの因子を導入することでiPS細胞を作成するというものでしたが、このうちの1つであるガン遺伝子c-Mycを用いずにiPS細胞を作成することができるという報告です。
先日の記事でも取り上げましたが、c-Mycは典型的なガン遺伝子として知られていて実際に以前の方法でiPS細胞から生まれたマウス36匹中6匹がガンを発症してました。今回の方法でc-Mycを用いずに作成したiPS細胞由来のマウス26匹にはガンの発症は見られなく、安全性が高まったことを示しています。
c-Mycを導入しなくてもiPS細胞になる理由として元々細胞が持っているc-Myc遺伝子が活性化をしたのではないかと考えているようです。ということは結局ガン化する可能性は残ってるんじゃないかなあとも思うのですが、どうなんでしょう。とりあえず26匹には見られなかったので直接導入するよりはマイルドになっているということでしょう。ちなみにc-Mycはガン遺伝子ですが、ガン化する前(平常時)は転写因子として細胞増殖に関わっています。
ちなみに安全性という意味では、すべての問題が解消するというわけではありません。一連の手法ではこれらの因子をレトロウイルスベクターを用いて導入しています。レトロウイルスベクターを用いた遺伝子導入には長期にわたり導入遺伝子の発現を維持するという特徴があります。この研究でもこの特徴を利用しているわけです。
しかし、遺伝子を導入する場所を決めることができないため、適当なところに確率的に導入されてしまいます。これは意外と大きな問題でこのことが原因で他の遺伝子を活性化させてしまうことがあり、ガン化などを引き起こす原因になるという事例が多く知られていて、安全性に疑問が持たれています。ここも改善しないと臨床で安全にってわけには行かないかと思います。
今回の報告の早さにもかなり驚かされました。この勢いでこの研究についてもすでに進んでいることを期待したいですね。
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