花粉症やぜんそくに朗報、発症関与の新たんぱく質発見 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
花粉症やぜんそくなどのアレルギー疾患の発症に関与する新たなたんぱく質を、理化学研究所の研究チームが発見し、3日の米科学誌「ネイチャー・イミュノロジー」(電子版)に発表した。
日本人の約3割は何らかのアレルギーに悩まされているとされ、このたんぱく質を制御することで、新たな治療法の開発が期待される。
アレルギーに関与しているタンパク質を同定したという報告で、このタンパク質は1型アレルギーと呼ばれるアレルギー反応に関係があることが示されています。I型アレルギーというのは花粉症やアトピー性皮膚炎などに代表されるいわゆる普通のアレルギー反応のことです。
I型アレルギーでは、例えば花粉症なら花粉を抗原として、抗原がたくさん体内に侵入するといつでも抗原が入ってきたときにたたけるように準備します。この状態を感作されているというのですが、このとき肥満細胞の表面に抗体(この場合は花粉に対する抗体)であるIgEがくっつきます。このIgEが抗原と反応して結合すると肥満細胞から離れ、肥満細胞からヒスタミンをはじめとする化学物質が顆粒として放出されます。これらの物質が神経を刺激したりして鼻水がでたりとアレルギーの原因になります。アレルギーを防ぐためにはこのヒスタミンの分泌を阻害すればいいわけです。これが抗ヒスタミン剤ですね。
前置きが長くなりましたが、今回の報告ではこのヒスタミン分泌の引き金としての役割を持つタンパク質を同定しています。
そのタンパク質は、STIM1と呼ばれるタンパク質で今回新しく発見されたタンパク質ではありません。これまでは細胞内にある小胞体という小器官の膜に局在していて小胞体内のカルシウム濃度を管理しているタンパク質として知られていました。小胞体内部のカルシウム濃度はアポトーシスなんかとの関係も指摘されていて重要なタンパク質の1つです。
この小胞体のカルシウム濃度を調整するために細胞外からカルシウムイオンを取り込むプロセスを発動させる引き金にもなっています。これがヒスタミンなどの分泌と強く関係があることを筆者らは指摘しています。STIM1を欠損させたマウスの実験で顆粒放出などが著しく低下することを示しています。
また、欠損させなくてもSTIM1の生産量を少なくした場合でも同様の結果になることがわかったため、STIM1による細胞内へのカルシウム流入がアレルギー反応の原因になっているとしています。
この結果から、STIM1の機能をうまく制御することでアレルギーを和らげることが出来るのではないかと期待しています。ただし、先にも書いたように複合的な機能を持ったタンパク質で、体中の細胞にある重要なタンパク質ですから簡単にこれを阻害したからアレルギーを緩和できるという話にはならないかもしれません。これからの応用研究に期待したいですね。
- Newer: 口の粘膜から角膜を作る再生医療
- Older: どうしてガン遺伝子なんていう危ない遺伝子があるの?
Comments:0
Trackbacks:1
- Trackback URL for this entry
- http://sasapanda.net/archives/1823/trackback
- Listed below are links to weblogs that reference
- 花粉症やアトピー発症のカギを握るタンパク質が同定された。 from Orbium -そらのたま-
- trackback from 栄養学を学ぶ 07-12-10 (月) 23:36
-
タンパク質の栄養的意義 その1…
摂取したタンパク質は、消化吸収後、体タンパク質の合成の 材料として用いられるだけでなく、ホルモンその他種々の機能 物質の成分となる部分もあり、最終的には体内で燃焼して、 1…



