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プリオンタンパク質を分解する新しい酵素が見つかった

[異常プリオン 新分解酵素を発見 九産大の満生准教授 低温、短時間で作用] / 九州のトップニュース / 西日本新聞

牛海綿状脳症(BSE)などの原因物質とされる異常プリオンタンパク質を短時間で分解する酵素を、九州産業大工学部(福岡市東区)の満生慎二准教授(41)=応用微生物学=が見つけた。異常プリオン分解の研究は国内外で進められているが、低温、短時間で作用する酵素の発見はBSEや人のクロイツフェルト・ヤコブ病の治療薬などへの応用が期待され、海外の研究機関からも問い合わせがきている。


Holy cow!
Originally uploaded by bragur

狂牛病の原因となるプリオンタンパク質を分解する新しい酵素が発見されたという話題です。これまでにもプリオンタンパク質を分解する酵素は知られていましたが、この酵素(ナパーゼと命名されています)はこれまでに知られている分解酵素に比べ低温・短時間で効果を発揮するため狂牛病やクロイツフェルトヤコブ病の治療薬に応用を視野に入れているようです。

とはいえ、治療に使うためにはまだまだ改善が必要そうです。

このナパーゼは60℃で最も活性化し3分間で異常プリオンを完全に分解できます。この数字はたしかにこれまで発見されているプリオン分解酵素の60℃、30分以上という数字に比べると高性能なのですが、60℃というのは生体内ではあり得ませんね。ナパーゼの37℃での活性がどんなものなのかも気になります。もちろん60℃じゃないと機能しないわけではありませんが、活性は半分以下になるんじゃないかな? それでも10分もあれば分解できるなら十分という話なのかな。

ふつう化学反応速度は温度が10℃上がると2〜3倍速くなるのですが、酵素はそうではありません。酵素はタンパク質なので、ある程度高温になると変性して失活してしまいます。このバランスのため酵素はある温度で活性の極大を持ちます。動物が持つ酵素はだいたい35〜55℃くらいに活性極大を持っていてうまく機能できるようにデザインされています。また温泉の湧出口で生存するような微生物が持っている酵素は100℃でも変性しないようなものもあります。
生活のなか、例えば洗剤とかで使われている酵素は生物が持っている酵素を使っていることがあるのですが、そのまま使うわけではなく低温で活性を持つように改良しているものが多いとおもいます。この記事のナパーゼでも同じようなことをするかもしれませんね。

もうひとつの問題が重大なのですが、このナパーゼは正常型プリオンと異常型プリオンの区別がつきません。ご存じのようにプリオンは正常型と異常型があって、正常型は誰の身体の中にも存在しています。異常型は正常型がちょっとだけ変形したものですが、これが蓄積することで狂牛病などプリオン病の原因となることがわかっています。
プリオン病を治療するためには異常型プリオンだけを分解すべきなのですが、いまのところ出来ません。異常型プリオンを選択的に分解するように改良する研究は行われているようですが、なかなか難しいと思います。
現在プリオンタンパク質を区別なく分解するということは正常型と異常型の共通した部分を認識しているということです。これを異常型の異常型しか持たない部分を認識するようにしないといけないわけですからちょっと難しいんじゃないかな?

ともあれ、こういった酵素が見つかるのは非常に頼もしい報告だし、うまく改良することができて治療に応用することができれば大きな成果となりますから期待したいと思います。

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