- 2008-02-26 (火) 18:48
- 科学
Your history is printed in your hair : Nature News
水道水を飲むことで、その地域固有の「サイン」が髪の毛に刻まれることがわかった。このサインを調べればその人がそれまでに住んでいた歴史を知ることができるようになるだろう。

from .Bradi.
髪の毛に残された水道水由来の水分子に含まれる同位体を調べることで、居住地を知ることができるという報告です。この成果は今後、人類学や警察の科学捜査などに応用され広く使われることになるだろうと報告したPriceらは主張しています。実際に科学捜査にはテストとしてではあるものの使われています。
同位体を用いて推定するというと考古学で用いられる放射性炭素年代測定がよく知られていますが、この方法はこれとは趣が異なるものです。
報告の手法では、身体に含まれる重水素やO18(酸素18)は水道水由来で、普段飲んでいる水に含まれる同位体量に比例するため、これらを調べることで居住地を特定しようとしています。
髪の毛を用いる理由は、骨などの場合日々作り続けられているために時間的に新しい細胞も古い細胞も混じってしまい平均化されてしまうため、移動しているのかずっと同じところにいるのかわからなくなってしまう。その点、髪の毛は一度生えたら組織に変更はなく、しかも伸び続けるため、いつ頃どこにいたのかという情報が保存されると考えられるためです。
ですから、生まれてからの経歴を知ることはできなくて、髪の毛の短い人なら数ヶ月、長い人なら数年分の履歴を調べることができる技術だといえますね。
居住地を知ることができる原理は、地球上の水素や酸素原子の中にはある一定量の同位体が含まれていて、それは雨雲の中の水でも同じです。しかし、雨となって降るときには重い水、つまり同位体を含んでいる水分子の方が降水しやすい傾向があります。雨雲は海の上でできるので海岸線付近では同位体の比較的多い「重い雨」が降り、内陸部では同位体の少ない「軽い雨」が降るというわけです。これが髪の毛に「サイン」をするというわけです。
ですが、海岸線なら同位体濃度が高い、内陸なら低いという程度では済んでいるところのヒントにはなっても同定にはなりません。各地域の水道水が含んでいる同位体の割合には結構な差があるようで、髪の毛が含んでいる同位体の割合と比較することでどの辺に住んでいるのかがわかってしまいます。海岸線以外にも様々な地形効果や気候に影響を受けるということなのかな。
実験では1本の髪の毛を細切れにすることでその人が北京からソルトレイクシティに移動していたことを突き止めています。ただし、髪の毛に新しい場所の記録が刻まれるようになるには3ヶ月以上同じ地域にいる必要があり、旅行などでは髪の毛の履歴には残らないようです。
また、この研究では水道水や地元で採れた食材以外の水や食品を「global diet」と呼んで、均一のものだと仮定しています。このことについて、オックスフォード大学のHedges氏は「普段の食生活が異なる人が混在しているのだから均一だと仮定するのは良くないのではないか」とベジタリアンの存在を挙げてコメントしています。たしかに基本となる同位体が同じだと仮定すれば水道水で差が生じるかもしれませんが、普段の食生活でそもそも差が付いている場合には推定することが難しくなりそうです。これはこれからの課題になるのでしょう。
まだ未完成ではあるものの、身体から「住んでいた場所」を推定することはこれまでできなかったのですから、ある意味革命的な調査方法だと言うことができそうです。この研究成果が地形も違う、食生活も違う日本で使われるようになるのかはわかりませんが、その期待も込めて、今後の発展を願いたいですね。
- Newer: 牛肉のおいしさを評価する装置が開発された
- Older: 炊飯器でお手軽料理 第4弾! 厳選53レシピ
Comments:0
Trackbacks:1
- Trackback URL for this entry
- http://sasapanda.net/archives/1858/trackback
- Listed below are links to weblogs that reference
- 髪の毛1本でどこに住んでるのかわかる。 from Orbium -そらのたま-
- pingback from 髪の毛からどこに住んでいるのかがわかる|デジマガネット 08-02-29 (金) 11:24
-
[...] [ Orbium -そらのたま- via naturenews ] [...]



