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バイオリンだけでチェロ並の低音を奏でる技術:サブハーモニクス

Noise Addicts ? Blog Archive ? The sound that shouldn’t be

Mari Kimura is a New York composer and virtuoso violinist whose music includes haunting low notes on the violin called “subharmonics.” …Problem is, these sounds aren’t supposed to be possible.


from mybigbro

日本人のバイオリニスト木村まりさんがサブハーモニクスと呼ばれる独特の奏法を習得していて、この奏法を用いることでバイオリンでチェロ並の低音を奏でることができるのだそうです。

バイオリンをはじめとする弦楽器は弦を振動させることで音を出すので、弦が長ければ長いほど、太ければ太いほど低い音が出るわけですね。ですから指で押さえることで弦の長さを調節して音階を作ることが可能になるわけです。ということはバイオリンで、より長い弦をもつチェロの低音を奏でることは物理的に不可能だといえそうなんですが、実際に音が出るという。これはどういうことなんでしょうか?

記事によるとこの一見不可能とも思える演奏方法は、実際に演奏している木村さんにもどういう原理でなっているのかよくわからないみたいです。ご本人曰く「試行錯誤の末に出来るようになった」ということなんですね。ですが、この奏法は10年以上前から行っているようで、完全にモノにしているとのことです。実際に木村さんが作曲したALTという曲の中でも使われているそうです。

当然、こうした現象を科学的に解明しようとした研究者もいました。ですが、その原理を解明することは出来なかったようです。詳しいことは木村まりさんが書かれているSUBHARMONICS: A REVOLUTIONARY TECHNIQUE FOR THE VIOLINに書かれているようです。残念ながら音楽の知識が全くないのでよくわかりませんでした。ですが、弓の圧力と速度が非常に重要なテクニックだそうです。

もう少し調べてみたら、教えてgooに質問を投げている方がいました。2002年の投稿ですね。結構古い。
ヴァイオリンでチェロの低音を出す技術、ALF? - 教えて!goo

ALF(=Anomalous Low Frequency)というヴァイオリン奏法があることを小耳に挟みました。ヴァイオリンでチェロの低音を出す技術らしいです。サブハーモニクスと関係があり,パガニーニやタルティーニも使っていたらしいです。そして、最初に楽譜になったのは木村まりさんの”ALT”らしいです。

この質問に対する解答でこの奏法についてご存じの方が技術的な理解について述べられています。

ALFについての私の技術的な理解について書いてみます。
バイオリンの弦では通常ヘルムホルツ(パルス)基本波で振動しているのですが、横波、ねじり波の反射が発生すると変則的な低音が発生する可能性があるそうです。
特に強く弦を引くと指で押さえた指板の部分に伝わった振動が戻ってくる時、ボウの励起振動が強いため駒まで伝わらず基本波ではない周波数(更に低いサブハーモニクス)が発生するそうです。
なんでもその強い引き方とは初心者が弾くようながりがりいう音のような感じとか聞きました。
またボウを当てる弦の位置にも深く関係するそうです。

・・・これまた難しくてよくわからない。 ですが、普通の弾き方ではなく弾いたあとの振動の伝わり方を制御する奏法だと理解することが出来そうです。これによってどんなことが起きるのかは科学的にまだ謎のままという理解で良いのかな?

弦の理論限界を超えた低い音を出したいという欲求を日頃の鍛錬で習得するというバイオリニストの執念というか凄まじさを感じました。試行錯誤の末に論理の枠組みを超えたものを手に入れることが出来る人間の能力をまざまざと見せつけられました。
現実の事象としては存在しているが、理論的な理解が追いついていないというひとつの例ですね。工業分野などではどうしてうまくいくのかわからないが、再現性もあるし便利だから使ってしまおうという話は良くあります。ですがより身近な、実際に音として感じられるものでそうした例があるというのは興味深い事実なのではないかと思います。

また、科学びいきで話をすれば、この演奏方法が理論的理解されれば体系的にテクニックとして成立する可能性もあると思います。技術が普及してより音楽の世界が広がりも期待できます。その普及に科学の力が役に立つと良いですね。
もちろん、実際に出来るんだからそれでいいんだ。という意見もあると思います。でも知りたいじゃないですか。どうして短い弦で長い弦でしかでないはずの低音が奏でられるのか。こういうのが科学の根源だと思っています。

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